通勤時間を利用してamazon primeにて映画を見ているもとてんです。
このブログでは私の見た映画を自分なりに書き留めています。
これから見ようとしている方や興味ある方はDVD選びの参考などに是非見てみてくださいね。
また見たことある方は余韻に浸りましょう。
今回観たのは【あん】です。
どんな内容かなと思いましたが、
「あん」はどら焼きに入っているあんこのことでしたね。
どら焼き店主のお話かなと思いましたが、
中盤以降は予想とは違うような展開でもありました。
病気に対する周辺の人々の変化などが見どころでしょうか。
また、主演の河瀬直美さんはこの映画の3年後に亡くなっているということで
遺作でもあります。
それでは簡単な情報です。
出演者などを見ると、期待感は高くありませんでしたが、
思った以上に物語として続きが気になる作品でもあります。
らい病というハンセン病もこの作品を見るまで全く知りませんでしたので
そういう意味では勉強になるところもあるので見ておいても良いかもしれません。
ここからはネタバレに注意してくださいね。


どら焼きのあんについて
主人公の千太郎(永瀬正敏)は小さなどら焼き屋を経営しています。
客足もまちまちで、どら焼きがそこまで好きなわけでなく事情があって営業しているという感じです。
そして、どら焼きのあんにも拘りがなく、
業務用のあんを調達しているだけで、いたって普通のどら焼きという感じです。
そこに飛び込んできた謎のおばあちゃん・徳江(樹木希林)が手作りのあんを持ってきます。
そのあんを試しに食べてみた千太郎はあんの味に感動を覚えて徳江を雇うことにしてあんの作り方を教わります。
あんを変えたどら焼き屋は繁盛することになるわけです。
街のウワサというものは広がりが早いということがわかります。
高齢者を雇うリスク
76歳である徳江はいきなり雇ってもらいたいと千太郎に直訴しました。
手や指に少し不自由があるということで、時給は200円でいいと腰も低く申し出します。
私は店長をやったことがあるので、このあたりについてはいろいろ思うことがあります。
高齢者を雇うというのはリスクが非常に高いですし、
時給に関しては最低賃金というものもあるので、実際のところは200円というわけにはいかないでしょう。
とはいえ、街の小さなどら焼き屋さんなので、そのあたりはバレなきゃ何とかなるかもしれませんが、
高齢者だと何かあった時が怖いですからね。
労災で済むような話ならいいですが、もし仕事が原因で亡くなるなんてことがあったら大変なことです。
余談ですが、昔、プロ野球で野村克也氏が監督をやりたいと思っていながらも高齢のため、どこの球団も監督を打診しませんでしたね。
それだけ高齢者を雇うというのは怖いことでもあります。
いくら本人が元気でやりたいと言っても、世間は何かあれば叩いてくるかもしれませんからね。
しかも、この徳江は電話を持っていなかったり、雇うのは相当な怖さがあります。
それでも働いてもらうことにしたのだから、それだけあんに魅力を感じたということでしょう。
スタッフとして恐ろしい
店長経験のある私としては序盤の徳江の行動はスタッフとしては怖いなという部分が多々ありました。
特に千太郎が具合悪くて休んだ時に徳江は勝手に店を開けてしまいます。
焼いたことのない生地を作って出してしまうのですから怖いですよね。
売上金とかちゃんと管理できているのかという不安もありますし、
とにかく、店の評判を下げることにもなるのに危険極まりないですね。
また、全体的に衛生面に不安を感じました。
それは徳江の病気とかの話ではなくて、飲食店経験者からすると
厨房での衛生面には見ていて少し不安を感じました。
らい病という病気
らい病というのは現在ではハンセン病と呼ばれています。
ここ数年は日本ではほとんど感染者はいないようですね。
ブラジルや東南アジアで外国人と過ごした際に菌を貰うことなどが稀にあるようです。
詳しくはググってみてくださいね。
非常に感染力は弱いですが、感染する可能性もあることから、
らい病になった人は隔離施設で過ごすことになります。
世間的には怖いというイメージが付きまとっているため、
普通の日常生活を送れなかったりします。
この作品でも徳江は過去に妊娠したこともありましたが、
生むことを許されなかったと言っています。
遺伝する可能性はないのに過去の状況だとそれすらダメだったのでしょう。
中盤で預かった鳥を終盤で逃がしてしまったというくだりは
まさに徳江と同じで、籠の中の鳥と同じ状態であることを伝えています。
ラストシーンについて
ラストでは千太郎は桜の季節にどら焼きを外で売っています。
徳江の病気の噂が広がり、一時は繁盛していた店は敬遠されてしまいます。
徳江は自分の責任で身を引きました。
そんな徳江を心配した千太郎は常連客のワカナ(内田伽羅)と徳江に会いに行きます。
そして、しばらくした後に徳江は遺言のようなメッセージテープを残して亡くなります。
オーナーの甥っ子と一緒にお好み焼きをお店でやることとなってしまった千太郎は徳江の言葉を胸に自立を決意し店を離れることにしたということでしょう。
徳江が檻の中で監禁されたような生活をしていたのと同じで
千太郎もまた、オーナーに飼われているようなもので檻の中で営業をしていました。
そこから飛び出すことになったわけですね。
印象的なシーン
印象的なシーンとして挙げてみたいのは冒頭の女子中学生がキャピキャピうるさくどら焼きを食べながら話しているシーンでしょうか。
実はこのシーンってけっこういろいろな意味が詰まっているんですよね。
というのは後のあんが美味しくないというところに繋がります。
業務用の一般的なあんは子供騙しみたいなレベルであって、
常連客も中学生程度というところなわけです。
学生のたまり場的な意味で利用されているというのがこのどら焼き屋の実状というのがわかります。
この映画から伝わる事
この映画から伝わる事は【生きる意味】でしょう。
隔離された生活を送ることになるハンセン病という病気を通して、
生きる意味というのは何なのかというのを伝えようとしています。
そんな隔離された生活であろうと生きたいという思いはあるものです。
そして、隔離された生活というのを自ら選んでしまっている人もいるでしょう。
それは引きこもりだとか自分の殻をなかなか破れない人だったりします。
隔離されているわけではないはずなのに、
自由に生きる権利があるはずなのに、、、
それでも自ら閉じこもってしまったり、
飛び出すことを恐れていたりします。
そういった内気だったりネガティブな気持ちをプラスに替えたいなんて方には
より響く作品なのではないでしょうか。
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