恋のしずく

通勤時間を利用してamazon primeにて映画を見ているもとてんです。

このブログでは私の見た映画を自分なりに書き留めています。

これから見ようとしている方や興味ある方はDVD選びの参考などに是非見てみてくださいね。

また見たことある方は余韻に浸りましょう。

今回観たのは【恋のしずく】です。

広島県にある日本酒の老舗酒造の物語です。

それでは簡単な情報です。

【恋のしずく】

 

2018年10月公開

 

監督:瀬木直貴

脚本:鴨義信
主演:川栄李奈、小野塚勇人、宮地真緒

 

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簡単な内容としては農大の醸造学部でワインの知識が優秀な女子大生が

研修でワイナリーを希望していたが、まさかの日本酒の酒造で研修することになります。

まったくやる気のない状態でしたが、

徐々に日本酒の魅力を知っていくという感じです。

ちなみに私はお酒が好きなのに加えて、実は農大出身なので興味があったので観た次第です。

日本酒の酒造の現場のことがよくわかりますし、

学習面を考えると、見ておくと良い作品ではないでしょうか。

監督の瀬木直貴は過去に「ラーメン侍」なんて作品も手掛けております。

ここからはネタバレに注意してくださいね。

手違いから研修が始まる・・・

物語の舞台となるのは広島県にあるとある老舗酒造です。

そこに研修に行くことになった橘詩織(川栄李奈)は日本農業大学の醸造部の学生。

ちなみにこの大学は実在しませんが、

詩織が世田谷で学校の近くに住んでいると言っているので東京農業大学を連想させますね。

余談ですが、私は東京農業大学出身だったりしますのでちょっと親近感あります。

そして、この研修先となる酒造会社が実は実習を断ることになっていたのが、

会社の息子である乃神完爾(小野塚勇人)の手違いにより実習生を受け入れてしまいます。

ちょっと詩織に同情してしまう流れでもありますよね。

女子大生がハマり役か

この作品を最後まで見れるのは川栄李奈の可愛さだったり、魅力がひとつでしょう。

川栄李奈は元AKB48だったんですね。

理系の女子大生を演じているのですが、

とにかくハマり役に感じました。

等身大の女子大生という感じで、序盤のトゲトゲさだったり、

その演技力の高さに惚れちゃいます。

本当にどこにでもいる女子大生ぽいなと感じてしまいます。

特に樽の洗い直しで全部洗うのは非効率ではないかというシーンは個人的には好きです。

周囲の人間の魅力

この作品の見どころは周囲の人間の魅力にあります。

とにかく周囲の人間たちがなんだかんだで優しさ溢れています。

詩織を序盤から援護してくれる高宮美咲(宮地真緒)の存在は大きいですね。

日本酒嫌いの詩織に対して、悪い顔をせず飲みに行ったり付き合ってくれる大人のお姉さんという感じです。

同じ女子だから理解し合えるような部分で良い支えになってくれています。

そして、序盤ではやる気の内容に見える乃神酒造の息子である完爾もその1人です。

中盤では実は会社のことを何気に考えていて、ワイン会社との提携も考えていたりしました。

その後も詩織の傷口を手当したりと良い面を見せ始めましたね。

続いて、おやっさんと呼ばれる坪島(小市慢太郎)が良い味を出してくれています。

あまり動けない父に代わって、詩織にいろいろ教えてくれるのですが、

はじめはめちゃ厳しくて昔ながらの考えって感じの親父でしたが、

日本酒造りの姿勢を見ていると、嫌いではないなというところです。

この作品では取り巻く周囲の人に着目してみてると面白いところがあるかもしれませんね。

父と息子の対立

物語のメインとなるのが蔵元である父・乃神輝義(大杉漣)と完爾の親子の対立だったりします。

蔵を継がないという完爾ですが、なにげに会社のことを考えていたりしていました。

そして、なぜ父を憎んでいるかというと、母が亡くなった時に飲み歩いていたということでした。

しかし、物語中盤で父が亡くなります。

ちなみに大杉漣さんってこの映画の公開された年に本当に亡くなっているんですね。。。

そのあたりを考えるとこの作品はさらに見てしまうところですね。

そんな対立していた親子でしたが、父の死によって知らなかったことがわかります。

父は母が亡くなった時に「命なりけり」というお酒を造るためにおやっさんとお酒を飲みまくっていました。

そして父が亡くなった時に完爾もお酒を飲み過ぎてしまいましたね。

その後に、その母の願いでもあった「命なりけり」の蔵元として製造に着手します。

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美咲の恋愛

序盤から詩織に寄り添ってくれる美咲にもまた物語があります。

美咲は序盤からまったくお酒を飲みませんでした。

車の運転だったり、何かと理由付けて飲みませんでしたね。

ここに違和感を覚えた人は鋭すぎです。

物語後半でわかるのですが、美咲は妊娠していました。

相手は序盤で彼氏と別れたばかりと言われていたその男です。

このあたりの散りばめられた伏線はちょっと面白いですね。

妊娠とわかったと時に、だからお酒飲んでなかったんだということがわかるのは気持ち良いところです。

また、有重酒造の息子である一紀(中村優一)は一見、詩織が気に入って繋がったと思うところですが、

実は美咲のことが好きで、美咲と会う口実を作るために詩織に近づいたというのもなるほどという感じでしたね。

最後は橋づくしに挑戦している美咲にプロポーズをしてハッピーエンドとなります。

プロポーズが酒造ならではという口説きで面白いところです。


それぞれの橋づくし

終盤の見どころが橋づくしという願掛けです。

橋づくしは誰とも離さず、無言で後ろを振り向かず、広島市にある7つの橋を渡り切ると願いが叶うといういい伝えです。

詩織に言わせると「願掛けって自分をフィルターにしてクロマトグラフされた単純思考」らしい(笑)。

理系の人にはそう思うかもしれませんね。

でも、詩織も願掛けをするわけですが。

最初に完爾が橋づくしをしているのですが、

これは伏線であり、その時には意味がまったくわかりません。

美咲と詩織が完爾を見つけた時に無視されるんですよね。

それは誰とも話してはいけないという願掛けであるからでした。

その後に、この橋づくしの説明を詩織と美咲に伝えます。

美咲は妊娠していて、今後どうするかなどの迷いを振り切るために。

そして、詩織もまた日本酒の魅力がわかって、ワインの留学も迫っていてどうしていいかわからない状況であり、願掛けをすることにします。

また、完爾が橋づくしをしたのは「命なりけり」の蔵元として、そして会社を引き継ごうという覚悟を決めるためでしたね。

このあたりの3人の橋づくしは終盤の大きな見どころとなります。

それぞれの想いを考えると、いろいろなものが見えてきますね。

中でも美咲の橋づくしが見どころでもあります。

妊娠しているため、途中で辛くなり、詩織が心配しますが、

ここでは表情だけで二人は声を掛け合いませんでした。

この二人の声なしのシーンは良かったですね。

そして、橋づくしの途中で一紀にプロポーズされて結ばれます。

これはつまり、橋づくしに失敗したということでもあります。

ただ、美咲は絵馬に「シングルマザー上等」と書いていました。

つまり、美咲の覚悟というのは一人で母親になり子供と二人で生きるということです。

だからこそ、橋づくしを最後までやらなかったことに意味があります。

二人ではなくて、一紀と結婚して3人で生きていくという結果を生み出しました。

ここはよく出来ているなと感じますね。

ラストシーンについて

さて、ラストシーンですが、

恋をした詩織は完爾との別れ際に、電車の発車音が鳴り響く中、

「好き」と感じに告白をします。

これを完爾は聞き取れたのかはちょっとわからないところですね。

そして詩織は広島を後にして東京へ行き、ワイナリーの留学となるのでしょう。

二人が結ばれたわけではなく、それぞれの道を生きるという感じでもあります。

この二人が今後どうなるかはまったくわからないところですね。

背景を考えれば、完爾は父が亡くなった直後ですし、

蔵元として生きていく決意だったり、恋にかまけている暇はないでしょう。

そして、詩織もまたこれからの人生、ワインの道などを考えると

恋に走っている場合でもないでしょう。

そう思うと、この二人はこれで疎遠となった方がお互いのためなのかなと感じるところでもあります。

個人的には後に、日本酒とワインの融合のような提携を完爾と詩織の二人で完成させるのが本当のハッピーエンドかなと思います。

印象的なシーン

印象的なシーンは完爾と一紀が飲み合った後の場面でしょうか。

酔い潰れた二人が帰るシーンなのですが、

詩織はここで完爾の後を追います。

美咲がここで「え?そっち?」と言い、一紀を介抱します。

この場面は詩織が完爾のことが好きになっているのがわかるシーンであり、

美咲を思う一紀がわかる場面でもあります。

この映画から伝わる事

最後にこの映画から伝わる事は【それぞれの人生】というところでしょうか。

この作品では橘詩織が主人公のように見えますが、

若い男女3人にそれぞれの物語があります。

そしてそこには願いだったり覚悟だったり、意思だったり・・・

様々な思いが交錯していきます。

また、詩織の視点からみると、日本酒の実習に行った事でたくさんの得ることがありましたね。

やっぱり食わず嫌いみたいなものはよくないですし、

別の世界でも学ぶことはたくさんあるものです。

例えば、野球一筋の人がちょっとサッカーをすることによって得られるものは決して少なくないでしょう。

それと同じでワイン一筋だった詩織は日本酒の酒造現場に携わることで一回り大きく成長した姿を見せます。

最後に魅せる表情は序盤のそれとは違うことがわかります。

また終盤の酒造りで完爾が「チームワークで作る」と詩織に言っていたのは印象的ですね。

女子大生である詩織の大人への成長を見届けることができます。

何かに挑戦しようとしている人、迷いのある人など多くの方に見てもらいたい作品でしょう。

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